歩行補助を考える


呼び方を、パームソナーは「空中を探る超音波ビームの杖(空中の杖)」、歩き方は「二刀流のナビゲーション
歩行補助の考え方(入門用の理論)
竹内潔
2017.02.27
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 呼び方を、パームソナーは「空中を探る超音波ビームの杖(空中の杖)」、歩き方は「二刀流のナビゲーション」

役割などをイメージできて、正しく伝わるように考えました。使いこなす人がいる一方で、誤解する人も出るからです。

 パームソナーは「空中を探る超音波ビームの杖、略して(空中の杖)」、つまり、空中にしか使わないので、白杖の代わりにはならない。使い方は、 杖そのもので、歩ける空間を探せるし、空間がないなら止まれるので、止まれるだけの「衝突警報、障害物感知器など」とは違う。歩き方は「二刀流のナビゲー ション」、つまり、従来とは違うので、従来の教えや常識を忘れて、学び直すのが大切。

詳しく説明すると;

 空中を探る超音波ビームの杖(空中の杖)

杖を空中に向ければ、周囲を探せますが、固い棒だと危ないので、超音波ビームを利用した杖が「空中の杖」です。「超音波の杖」では誤解する人がでます。ビーム が狭く、応答が速い、2つの技術に難しさとコストがあります。それらが無ければ、安くできますが、止まれるだけの別物ですし、二刀流には使えませんので、 安さの理由には注意が必要です。

超音波を使うのは、人の周辺に最適だからです。超音波は、近くが得意で、構成と維持が楽です。光は、条件を外れると、誤反応しがちです。電波は、近くが不得意です。いずれにしても、波動では、白杖の代わりは無理です。

 二刀流

二刀流は、2本の刀を両手で分担する、宮本武蔵から続く、極められた剣術のようです。二刀流のいい点は、役割を分担するから、おのおのの役割に集中できて、効果を最大にできることだと思います。杖でも、有り得ると思います。

晴眼者は、足元だけでなく、むしろ、周囲を確認しながら歩いています。周囲と足元への杖の二刀流は、自然だと思います。周囲は「空中の杖」のパームソ ナー、足元はパームチップ付きの白杖です。ちなみに、なるべく白杖の負担をなくして、楽で確実に使えるために開発したのが、杖先のパームチップです。

両手を別々に動かすのは、最初は難しくても、体は覚えますから、時間はかかりますが、誰にでも使いこなせる可能性があります。動作が単純なので、手の延長 のように慣れます。それに対して、従来の白杖一本では、周囲を知るのは聴覚や勘なので、個人差などがあって、一人で歩けない人になったり、安全が疑問(別 に説明)になるのだと思われます。

従来の指導法の延長だと考えている人には、パームソナーは使えない人が多いようです。二刀流は、発想の原点が違うので、別の、新しい方法だと割り切る意識が必要なようです。

歩きは、事故もありえる、真剣な作業といえます。もし、剣術くらい真剣なら、「片手で荷物を持ちたい」などの願望は、抑えられると思います。

片手に2本の刀では、戦いにくいことが想像できます。白杖とビームを片手で一緒に使うのも、簡単ではありません。まして、白杖にビームを固定したら(電子白杖?)、うまく使えるとは思えません。いわゆる「電子白杖」は疑問です。

 ナビゲーション

ナビゲーションを簡単に言うと、「どうやって目的地に着くか」です。最近よく聞きますし、移動の本質なので、これから、さらに、使われていく言葉だと思い ます。パームソナーも、白杖も、地図なども、ナビゲーションの道具ですし、歩きの場面に応じて、何を、どのように使いこなすかで、「視覚によらない歩き 方」を説明します。

伝承された経験を集めたのが、従来の理論のようですが、無理もでます。この分野が健全に発展するためには、現代の科学で再構築する必要があると思います。説得するなら難しい説明になりますが、使うだけなら直観的で自然です。

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 歩行補助の考え方(入門用の理論)

二刀流ナビゲーションで提案する方法では、聴覚で全体に気を配りながら、超音波ビームを振り、白杖を滑らせながら、周囲や路面に沿っていきます。いわば、人間の習得能力に期待して、なるべく機能の高い道具を使って、現場に対応しようという発想です。

 歩きは制御

まず「歩きとは何か」を考えると、どう補助するかが分かります。

歩きは、制御(コントロール)の集大成といえます。立っているだけでも、バランスを制御しますが、もし、応答が遅かったら、倒れてしまいます。倒れる方向や速さを制御していくと、「歩き」になります。

制御とは、「結果を目標どおりにするやりくり」といえます。誰でも無意識にやっていますし、機械だけでなく、体温を一定にするのも、制御です。制御と考えれば、補助の仕方があります。

制御では、応答が遅いか速いかが大事です。まっすぐ一定に歩いている時はよくても、歩き出す時とか、曲がる時とかの、変化の時に問題が出やすいからです。 変化の計算は微分ですが、それは、応答性(応答時間)で比べられます。例えば、歩きの応答時間は(人や場合によりますが)、1秒くらいです。1秒くらい何 もしないと倒れますから。

結果を知る役割をセンサと呼びます。バランスを知るセンサは、耳の奥にある三半規管です。頭を回した後では、いわゆる「目が回る」と、三半規管が混乱して、歩けなくなります。まっすぐ歩くコツは、頭を振らずに、垂直に立てて、姿勢よく歩くことだといえます。

 2つのセンサ

視覚も、周囲と足元の2つに注目できる、歩くための高度なセンサです。単純な道具に置き換えるには、2つのセンサに分けます。

例えば、周囲を知るセンサはパームソナー、足元を知るセンサは白杖です。しかし、広い意味では、振り向ける仕組みまで入れて、腕から超音波ビームの先までが周囲センサ、腕から杖先までが足元センサと考えます。

手を使うのは、知りたい方向へ、自由に向けられるからです。振動を感じやすいこともあります。両手でセンサを分担するのも、両方を混乱しにくいからです。

頭から遠いのも、手を使う理由です。脳を邪魔せずに、もっと高度な判断に使えます。聴覚は、迫ってくる自動車や、周囲の広がりなどを知るのに重要です。バランスを知る三半規管もあります。

問題なのは、センサが2つなのに、判断する脳は1つなことです。そこで、脳の負担を少なくするため、主に使うのは1つだけにして、他は止まるだけの単純な判断にします。場合によって切り替えるので、両方の使い方を似させています。

 センサの応答

安心して歩くには、安全なのを速く確認することです。応答が遅いと、人の感性に付いていけなくて、思うほどに歩けずに、ストレスになって、安全が手薄にな る恐れがあります。パームソナーは、小型にしたり、振動の切れを良くなどして、応答を速くしています。例えば、歩きの応答性より(説明は除きますが)数倍 以上は速い必要があるので、(衝突回避の応答性も考えて)、計測を1秒あたり12回以上(仕様書に記載)に、振動は鋭くて分かりやすい電磁石式にしていま す。センサが役に立つかどうか、最も重要な性能は、応答性です。

今までの白杖では、杖先が路面と結合する瞬間があって、突っかかりを避けるために、職人芸のような、複雑な制御が必要だと考えられます。杖先をパームチッ プにすることで、杖先と路面との結合を切り離せるので、制御を単純にできて、誰にも使いやすくできます。すばやく動かせるので、速い応答性になります。

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 竹内潔 テイクス代表。日産自動車の研究所で、超音波などのセンサや自動操縦やカーナビなどに関わり、そ の技術を障害者に役立てる。京都大学卒、ペンシルベニア州立大学院卒。「自動車会社でやっていたことは、視覚障害者の歩行補助に似ていましたが、企業の外 に出にくい、原物を扱う基礎の部分なので、一般の企業や大学などに知られることは少ないと思います。しかし、そこが、おろそかだと、作ることも、教えるこ とも、使うことも不完全になるでしょうし、歩きを語るなら、欠かせない技術だと思います。ただし、車と似ていますが、歩きでは初めてなので、検証と改良を 重ねていくことが必要と考えます。」

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